こんにちは。先日のブログ記事に引き続き、今回も公園工事について書きたいと思います。
今日紹介する工事は「富士塚二丁目公園再整備工事」です。この工事は横浜市港北区内にある老朽化した公園を、大幅にリニューアルする工事で、工事は3月末までの予定です。昨年の12月中旬から着工し、1月末時点で、公園の輪郭が何となくわかってきたかな?というような状態です。
2月の中旬には、ジャングルジムなどの遊具が建て込まれる予定なので、そのころにはだいぶ公園らしくなってくると思いますが、現時点では、施工途中のコンクリート構造物と残土の山があるだけなので、公園としては「殺風景」かもしれません。
そんなコンクリート構造物の施工で、今回特に苦労した「重力式擁壁(アール)」の施工状況を紹介します。通常、コンクリート擁壁などの施工はコンパネなどの合板を使用して型枠を作るので、構造的には、「真っ直ぐ(直線)」で作るものですが、今回の工事の重力式擁壁の設計図は「アール(曲線)」を描く図面になっていたので、表側は専用の型枠を型枠加工会社に依頼しました。しかし、擁壁の裏側は垂直ではなく、傾斜がつくので、曲線を描きながら、型枠を傾けなければならず、「どうやって、型枠を組むのだろう?」と施工の前から悩まされました。
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重力式擁壁の断面図
Hが表側、Lが裏側 |
親切な図面の場合、擁壁の展開図がついているので、それをもとに型枠を加工すればよいのですが、今回は詳細な資料がなかったため、自分たちで図面を書き、CAD上でmm単位の寸法を拾いながら、擁壁裏側の型枠の寸法図を作成しました。それをもとに、現場で台形の形をした型枠を作成し、設置しました。
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重力式擁壁型枠設置状況(表側)
重力式擁壁型枠設置状況(裏側)
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組みあがった型枠はこんな感じです。簡単そうに見えますが、図面と現場は必ず相違点が出てくるもので、CAD上で算出した寸法も組んでる途中からずれが生じてきたため、途中からは現場に合わせて一枚一枚型枠を加工しながら組み立てました。また、通常、擁壁など型枠の固定には、単管パイプを使用しますが、今回は、アールの擁壁なので、単管パイプの代わりに、鉄筋を使用して固定しています、この型枠の中に、大量の生コンを投入するので、頑丈に固定しなければなりません。
そして、コンクリート打設、養生期間をおいて型枠を脱却・・・
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型枠脱却後の様子(表側) |
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型枠脱却後の様子(裏側) |
表側は、アールに加工された型枠を使用したので、きれいに出来て当然ですが、普通のコンパネを使用した裏側も苦労した甲斐があり、きれいなアールになりました。施工者としては、「このままにしておきたい!」と思うところですが、このあと、裏側は土で埋め戻され、表側の表面は左官屋さんによって小叩き仕上げを施します。さらに、擁壁の天端には、木製のベンチが設置されるので、公園が完成した時には、この苦労を垣間見ることはできません。実は、公園工事の多くの施工箇所は「不可視」になる部分が多いですが、そんな場所にも、職人の技術と魂(と言ったら大げさかな?)が詰まっているんですね。今回の重力式擁壁の施工は、現場経験豊富な社長の指導のもと、弊社の若手社員たちが頑張りました。特に、昨年秋に入社した新入社員が予想以上の力を発揮してくれました(一躍弊社のエース候補です)。弊社の技術力は、今回の施工を通じて、さらにレベルアップしたのではないかな?と自負しています。